飴色蝶 *Ⅰ*
庵の前に立つ、要。

「伊納組、前組長の貴方が
 何の御用でしょうか?」

初馬は、庵の前で
深く頭を下げた。
    
その様子に、二人は驚く。

「この間は、うちの馬鹿息子と
 若い衆が高月組若頭の貴方に
 多大な迷惑をかけたようで
 こうして、一度会って
 詫びをいれたいと
 思ってました」

初馬という男は、とても
礼儀正しく、筋道を重んじる
昔ながらの極道だった。

「こんなところで立ち話も
 何ですので、この近くの
 私の行きつけの店に
 行きましょう
 貴方と一度
 飲んで話してみたかった」

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