飴色蝶 *Ⅰ*
「スミレ、何処行くの?」

そして、朱莉さんのお店の方
へと、あの日のように
私は駆けて行く。

「発砲事件があったそうだ」

「暴力団らしいわよ」

すれ違う人達の噂話
お店の前に集まる人の多さに
私は、眩暈を覚えた。
   
救急車のドアは閉まり
サイレンを鳴らして走って行く
   
パトカーに乗り込む
犯人らしき男性が見えた。
  
その男性は
私と同世代ぐらいの人だった。

人だかりのせいで
現場がどうなっているのか
全く分からない状態で
私は、辺りを必死で見渡した。
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