飴色蝶 *Ⅰ*
庵の姿を探したけれど
彼の姿は何処にも無い。

発砲事件って事は・・・

拳銃・・・撃たれたの?

救急車で運ばれた人が庵で

もしかしたら・・・
  
私は、悪い方へ悪い方へと
考えてしまい
どんどん、顔は青褪めて
気分が悪くなっていった。

立っていられない・・・

体の震えが止まらない。

その時
私の腕を力強く掴む人がいた。

「すみれ、どうしてここに」

その声は、イオリ・・・

私は、辺りにたくさんの人が
いる事など忘れて
庵の胸に抱きついた。

そして、彼の心臓の音を聞いて
涙が出た。
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