飴色蝶 *Ⅰ*
「シュリ、大丈夫か?」

「イオリ、血が・・・
 私、こわい」

「大丈夫だ、俺が傍にいる」

彼女を心配する、庵の
優しい声が聞こえた。

庵の肩に腕を絡め、脅えて
寄り添う彼女を

私は見ないように
窓の外をずっとみつめていた。

隣に、愛している人がいるのに
彼に触れる事は疎か
見つめる事もできない。
< 207 / 488 >

この作品をシェア

pagetop