飴色蝶 *Ⅰ*

大切な彼女

彼女は
目を覚ます事を拒むように
ずっと眠り続けていた。

庵は、戻っては来ない・・・

私の携帯に、雪乃からの
メールが送られた来た。

そこには、いつでもいいから
会長の安否を知らせてほしいと
書かれていた。

「あの、私
 少しだけ、ここを離れます」

「はい」
  
私は、雪乃に電話をかけた。

雪乃も、私と同じように
眠れない夜を過ごしていた。

幾ら、別れた相手とは言え
一度は愛した人。

その人が今、生死を
彷徨っている。
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