飴色蝶 *Ⅰ*
彼と別れる時、私の胸は
何も感じなかった。

涙なんて

一滴も出なかった。

そう言えば、私・・・・

庵先輩の前で泣いた

あの日以来

涙が出ていない。

涙を流す私を見た

彼の瞳が

忘れられない。

嫌悪感を抱いた

その瞳は

私から逸れて
  
ガラス窓の外に広がる
世界を見つめていた。
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