飴色蝶 *Ⅰ*
「大丈夫よ、心配しないで
 事件の後だから、警察も巡回
 してるだろうし

 一端のヤクザが女になんか
 興味ないでしょう」

「分かった、おまえの護衛に
 誰かを行かせるよ」

「ありがとう、あと
 今は、まだ無理だろうけど
 落ち着いたら
 ショウさんの、お見舞いにも
 連れて行ってほしい」

「分かったよ」 
 
二人の会話を聞いていると
私の頭は混乱していく。

彼女は会長の愛人のままで
庵とも付き合っているの?

それでも、庵はいいんだね。

庵が彼女を見つめながら
不意に見せる寂しい横顔を
見ていると、私の心は酷く痛む
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