飴色蝶 *Ⅰ*
二人の、仲が睦ましい姿を
見ているのが辛い私は
洗面台の鏡の前に立って
髪を梳かしていた。
  
「すみれ、着替えが無かったな
 気がつかなくてごめんな
 これで、必要な物を
 買ってくるといい」

「いいよ、このままで・・・
 イオリ、私、やっぱり
 帰っちゃ駄目かな
 
 貴方の愛を独り占めにする
 彼女の傍にいるのがつらいの
 ごめんなさい」

「おまえは、何も悪くない
 帰る支度ができたら
 言ってくれ
 
 送って行くよ」

庵達は、会長が目を覚まして
『俺も終わりかと思った』と
病床で笑っていた様子などを
シバに話していた。
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