飴色蝶 *Ⅰ*
あれから
一時間ぐらい
経つだろうか。
   
止め処なく流れていた
更紗の涙が枯れ果てた
時、彼女は言う。

「二人に話して
 いっぱい泣いたら
 スッキリしたぁ

 目が痛い」

赤く晴れた瞳で
私達を見て
無理に笑ってみせる
更紗。
   
そんな彼女に
私も雪乃も微笑み返す。

きっと、彼女の胸の痛み
が全て消えて無くなる
には、たくさんの時間が
かかるだろう

傷ついた
心の痛みの分だけ

更紗は先輩を愛していた
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