飴色蝶 *Ⅰ*
『イオリ
 絶対にヤクザにはならないと
 俺と約束しろ

 お前がヤクザになったら
 母さんが悲しむ
 シオリが悲しむ

 そして将来、お前が愛する女
 が悲しむんだ

 女を悲しませるような奴は
 男じゃない

 女ひとり
 大事にできねぇくせに
 何が極道だ

 イオリ、男と男の約束だ

 忘れるなよ』

そう言って一夜は

幼い庵の左頬を抓った。

東の空が薄っすらと明るくなり
ゆっくりと太陽が昇っていく。
  
庵は、ベッドで目を覚ます。

そして、隣で眠る朱莉を
そっと抱きしめた。

泣いている菫から目を

逸らす事しかできなかった

あの日の夜・・・・・・
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