飴色蝶 *Ⅰ*
「とは言っても、イオリに
 一々言う事など何も無い
 だろうけどな・・・

 普通の男が、たかが数年で
 ここまで登りつめた

 幾ら、血の繋がった親父さん
 が名の知れたすごい男でも
 馬鹿息子なら、もうとっくに
 ここにはいないさ
    
 それが極道の世界
 
 三代目は一夜の兄貴を越える
 
 私は、そう思っております」
  
江崎は、庵に頭を下げた。

「襲名式は会長が退院後
 後日行う
 
 今後、会長は三代目の意見に
 一任される
 
 皆、三代目を盛り立てて

 より一層 
 結束を固めていこう」
  
組の中に、庵が跡目を継ぐこと
に、不平不満を言う奴は誰一人
いなかった。
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