飴色蝶 *Ⅰ*
庵は煙草を手に持ったまま
その場に立ち

朱莉を抱きしめて耳元で言う。

「オマエが分からない」

「ごめんね、イオリ
 
 私も、わたしが

 分からないの」

今、この手にあるものは

愛なのか?

矛盾しているだろう・・・

おまえに愛していると
言えないくせに
   
愛を求める俺がいる。
  
『忘れてあげる』

忘れないでくれ・・・

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