飴色蝶 *Ⅰ*

「組長は重体らしいが、命に
　別状は無いらしい
　
　しかしこの後、抗争は
　しばらく止まらないだろう
　
　躍起になった連中が
　もしかしたらここへも
　来るかもしれないが

　警備は厳重にしてあるから
　まずは、大丈夫だろう・・

　うちが、会澤組と手を組む事
　が仲本組に分かれば、自ずと
　手打ちになり

　抗争は終わるだろうよ」

会澤組、組長は、庵の手を両手
でしっかりと掴んだ。

「三代目、襲名
　おめでとうございます
　　　　
　あなたのお父さんは敵ながら
　あっぱれな人でした
　
　あの痺れるような瞳・・・
　今のあなたに、そっくりだ
　　　　
　実際のところ、一緒に馬鹿を
　やってみたかったよ　　　　
　　　　
　ところで、娘のトモエです
　貴方に逢いたいと聞かなくて
　こんなところにまで付いて来
　て、お恥ずかしい限りです」