飴色蝶 *Ⅰ*
青色の信号機が点滅している
横断歩道を渡る時
  
彼が、咄嗟に私の手を取り
繋いでくれた。

しっかりと繋いでくれる彼の手
を、私はずっと解けないまま
そのまま、黙って俯いて歩いた

「すごい、高級車の数だな」

更紗の彼氏の声に、俯く顔を
上げると、朱莉の店の前に並ぶ
高級車、正装した男達・・・

「スミレ、あそこ」

更紗の指差す方向

高級車の傍に煙草を銜えて立つ
庵の姿があった。

庵の傍にいた要が、菫の存在に
気がつき

彼の耳元に何かを告げたのと
同時に、庵は菫を見つめた。

見つめあう二人・・・
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