飴色蝶 *Ⅰ*
『俺の傍にいて・・・』

その言葉は、彼の心の叫び。
   
ずっと、ひとりきりで
抱え込んでいた。

途轍(とてつ)もない寂しさ

・・・孤独。

私は知っていた・・・

彼が不意に見せる、寂しさと
悲しみの色をいっぱいに
詰め込んだ

冷たいビー玉のような瞳を
私は知っていた。

だけど外見しか見ていなかった
私は、その意味を全く知ろうと
もせずに

それを、儚くて美しいなどと
いう綺麗な言葉で飾り立て
憧れの眼差しで、ただ
見つめていただけ。

その瞳を隠す為に、彼が鋭く
刺すような瞳で

世間を見つめていた事にも
気づかずに

・・・・・・
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