飴色蝶 *Ⅰ*
シャツを纏う彼に、私は
気になっていた事を
ひとつだけ聞いた。

「シュリさんとは・・・」

「シュリとは、別れるよ」

「でも、イオリ
 彼女の事、大切なんでしょう
 彼女も、貴方の事
 
 無理に別れる事無い・・・」
 
私の言葉を受けて、庵の顔色が
変わる。
   
「じゃあ何、このまま
 
 シュリとも関係を
 
 続けていいの?」

冷めた瞳で、庵は
そう言い放った。
  
私は、自分の発した言葉を
酷く後悔する。

庵は、私の頭に手を置いて
優しく話す。

「馬鹿
 何都合のいい女やってんの」
 
彼は、その手で私の頭を
撫でてくれた。
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