飴色蝶 *Ⅰ*

ひとり

いつも、この部屋で私は
自由という、ひとりの時間を
満喫していた。
  
愛すべき休日・・・
   
『さぁ、好きなことをしよう』

それはただ、只管

眠り続けていてもいい。

好きな音楽を繰り返し
何度聞いてもいい。

時間を忘れて、小説を
読み耽っていてもいい。
 
ちっぽけな事かもしれない
けれど、家で過ごす事が
大好きな私には
   
それが、至福の時だった。

それなのに、今日の私は
何もする気が起きない。

庵がいなくなった部屋に

ぽつーんと
   
ひとりきり・・・
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