飴色蝶 *Ⅰ*
ソファーに、かれこれ一時間は
ぼーっとしたままで座っている
 
あんなに大好きだった

一人の時間を持て余してる。
   
とても退屈で

寂しい気持ちになる。

庵に、今度はいつ逢えるだろう

彼は、今頃、何をしてるだろう

そんな事ばかりを考えて
時間は過ぎて行く。

『こんな事ではいけない・・』

そう思った私は、とりあえず
庵の使ったグラスや
灰皿代わりの小皿を片付けた。

そして、思い立ったように
洋服を着替えて、鞄を持って
買い物へ出かけた。

お手頃価格のグラスに

お揃いのマグカップ

庵が使う、ひと通りの
食器を選び
   
最後に庵の瞳に、とっても
似ている黒猫の灰皿を
手にとった。
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