飴色蝶 *Ⅰ*
「組の奴らは頭に血がのぼり
 皆、声を荒げて
 仲本組と徹底的に闘おうと
 言い出す始末
     
 だが今、下手に動いて
 組の損害が大きくなる事は
 避けたい」
  
「下手すりゃ

 組が飲み込まれる」

「ああ、浮き足立って動けば
 相手の思う壺だ
     
 ここは、慎重に事を進める
 ことを決定した
     
 すまないな、叔父貴の思いも
 分かるが、ここは組の為
 どうか堪えてほしい」

江崎は、悔しさで溢れる涙を
拳で拭う。
    
「分かっております」  
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