飴色蝶 *Ⅰ*
背中を伝い、庵の声が聞こえる 

「シュリとの関係続けても
 良かったんじゃないの?
    
 そう言ったろ、おまえ」
 
庵の言葉は、私の胸に
突き刺さり

私は何も言えない。

動けない・・・

庵の腕が後ろから

私を強く抱きしめる。

そして、彼は囁いた。

「嘘だよ、シュリとは・・・」

私の顔を、覗きこんだ庵は驚き
言葉に詰まる。
  
困ったなぁって顔をして
私を見つめる。
 
庵の言葉が嘘だと分かった今も
一度涙腺が緩んでしまった
私の涙は止まる事は無い。
  
瞳から、ポタポタと
大粒の涙が流れていく。

「ごめん」

庵は私をきつく抱きしめて言う

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