飴色蝶 *Ⅰ*

行きたい場所

今朝の空は、雲に覆われて
太陽は身を潜めている。

少し開いている窓から
室内に流れ込む、風は冷たく
肌寒い。

二人は一組の布団に入り
くっ付いて仲良く眠っている。
 
庵の部屋に、ひとりきりの朱莉

いつか別れの時が来る・・・

そう、思っていたはずなのに
庵の部屋に溢れる自分の荷物の
多さに、朱莉は驚いていた。

ひとつずつ、鞄に詰めながら
彼女の頬に綺麗な涙が流れて
落ちた。

『シュリ
 
 俺と一緒にならないか』

庵の言葉を思い出し

朱莉は泣き崩れた。

本当は、知っていた。

自分がどんなに、庵の事を
愛していたか。
  
朱莉は、知っていた。

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