飴色蝶 *Ⅰ*
元々、レースが大好きな私は
普段、選ぶ洋服も、裾元や袖口
がフリフリしたキュートな
デザインが多い。
  
私は、店内に飾ってある商品を
見ながら、ふと窓の外

庵の姿を、探した。

すると、煙草を吸う庵の傍に
二人の派手な女性が立っていた

彼女達が、庵に何かを
話したのか

彼は、一瞬だけ口元を緩めた。
   
そして彼女達は、庵に手を振り
離れて行った。

こうして、離れた場所から
見つめていると、庵はただ
俯いて、煙草を吸っているだけ
なのに、彼自身から溢れ漂う
独特の雰囲気に周りの誰もが
呑まれていく。

行きかう人が、足を止めて
彼を見る、振り返る。
   
人をひきつける魅力が

彼にはある。

庵の姿を見つめている私の視線
に気づいた彼は、『おいで』
と手招きする。
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