飴色蝶 *Ⅰ*
お店から出た私の傍に、庵は
歩いて来て目の前で立ち止まり
私の手を握る。
   
この場所にいる誰もが、私達
を見ているような気がして

私は、咄嗟に庵の手を
離してしまった。

「すみれ、どうした?」

「ううん、お腹空いたね
 
 何か食べようか、何がいい
 
 イオリは、何食べたい?」

私は、庵と距離を取って
歩きながら左右を見渡して
お店を探していた。

すると、歩道を一台の自転車
が、猛スピードで菫の方へと
走って来た。
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