飴色蝶 *Ⅰ*
私は思い切って、一番
行きたい場所を言ってみた。

「貴方の家に行きたい」

答えは、聞かなくても
分かっていた。
 
「それは、できない」

やっぱり駄目なんだぁ・・・

私の瞳に、涙が溢れた。

「そう、言われるんじゃないか
 って、私、分かってたのに
 聞かなきゃよかった
 
 せっかく

 今日、イオリと過せて
 こんなにも楽しかったのに
 
 最後の最後に、私って
 馬鹿だぁ」

「すみれ」

「ねぇ、どうして、イオリは
 何も教えてくれないの?
 
 貴方の仕事のことや
 貴方自身のこと
 
 私、もっと、もっと
 知りたいよ
 
 もっと、もっと、貴方を
 近くに感じたい

 ・・・・・・」
< 312 / 488 >

この作品をシェア

pagetop