飴色蝶 *Ⅰ*
「シュリさんは何も悪くないの
 雨に濡れた私に、とても親切
 にしてくれただけ
 
 シュリさんが電話で、人手が
 足りないと話しているところ
 を私が偶然に聞いてしまって
 仕事を手伝う事にしたの
     
 だけど、思っていた以上に
 大変な仕事で、私には
 とても勤まらない
     
 今日が 
 最初で最後の体験だよ」

庵は安心からか、深いため息
をついた。
 
「そうか、それならよかった
 
 シュリ、もうすぐ店も
 終わりだろう
 こいつ、連れて帰るわ
     
 先代には、俺は用事があって
 帰ったと伝えてくれ
     
 後、すみれの荷物
 お前が、預かってて」

「ええ、分かったわ」
        
    

< 331 / 488 >

この作品をシェア

pagetop