飴色蝶 *Ⅰ*
「幸せにしてやる、などと
 言いながら、自分のエゴ
 勝手な思いを押し付けて
 いるだけかもしれません・・
   
 明日、死ぬかもしれない
 そう思うと隣に誰かの温もり
 を感じながら眠りたい
 
 何が男になるだ・・・
 
 ただの弱い男です」

「俺は、お前が羨ましいよ」

庵は、窓の外を見つめた。

本部事務所に顔を出した、庵を
待っていたのは盃直し儀式後に
新たな序列を組み直して
作られた、新しい幹部、執行部
の連中だった。
  
元々の顔ぶれは然る事乍ら
新しい面々もいる。
 
新しく幹部になった者の中には
仲本組への返しを行うべきだと
主張する者もいた。

「親父、いつになったら
 動いていいんですか?
    
 このまま、尻尾を巻いて
 逃げ出す気じゃ・・・
 
 今動かなければ、高月組の
 代紋が廃れます」
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