飴色蝶 *Ⅰ*
続けて更紗は、言う。  

「でも、何も話してくれないと
 余計、心配するよね?
 スミレが、知りたいと思う
 気持ちも分かるな」
   
「どんな事をしているのか
 
 それは危なくない事なのか
 
 抗争とかの危険性は無いのか
 
 誰かに恨まれたり、命を狙わ
 れたりしないのか
 
 明日は、生きていてくれる
 だろうか
   
 今、この時、彼は・・・」

今にも、不安な想いに
押しつぶされそうな菫の肩を
雪乃は強く抱いた。

「スミレ、落ち着いて
 前に、私が言った事
 覚えてる?」

私は、雪乃の言葉を思い出す。

『彼の世界に踏み込み過ぎては
 いけない
 恋人として逢えたその日を
 精一杯、楽しく、付き合う事
 だけを考えるの
 決して、その中に入ろう
 なんて思っちゃいけない』
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