飴色蝶 *Ⅰ*
この間、手伝うと言いながら
結局は接客の途中で、お客様
の席を立ち、庵と一緒に
先に帰ってしまった事を
ちゃんと謝ろう。
 
本当は、もっと早い時間に寄る
つもりだったが遅くなって
しまった。
  
お店が、忙しい時間で無ければ
いいのだけれど。
   
「ユカリさん、いらっしゃい
 この間は、お手伝い
 ありがとうございました」

店の外、スタッフの人が声を
かけてくれた。  

「あの、シュリさんは?」
 
「ママなら今、接客中だと
 思いますが
 呼んできましょうか?」

ちょうど、そこへお店のドア
が開きスタッフの紅と朱莉が
出て来た。

紅は、長い髪のウィッグを付け
赤色のワンピースを着て
どこから見ても女性だった。
< 351 / 488 >

この作品をシェア

pagetop