飴色蝶 *Ⅰ*
「コウちゃん、寂しくなるわ 
 でも、新しい門出だもの
 私、泣かないわよ」

「ママ、長い間
 ありがとうございました
 ここでの経験を活かして
 新しいお店では女の子として
 頑張ります」

朱莉は、ハンカチで目を押さえ
ながらふと、菫の姿に気がつく

「スミレちゃん

 どうしたの?」

「この間のドレスを、返しに
 来ました」
 
「あら、この綺麗なお嬢さんは
 誰なの、ママ
 新人さんかしら?
 手首なんて折れちゃいそう」
  
私の手に触れながら
人懐っこい瞳で私を見つめる
彼女。

朱莉は微笑んで、紅に言う。 

「この子は
 三代目のいい人よ」

「えっ、イオリさんの・・・」
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