飴色蝶 *Ⅰ*
「シュリさんと言い
 この、お嬢さんと言い
 三代目は、面食いだわね
 
 って、当たり前よね
 あの人自身も相当な男前
 だもの
 
 いい男といい女のカップル
 なんて憎らしいわ
 なんてね」

そう言って豪快に笑う、彼女に
私は圧倒しっ放しで、最後まで
言葉が出なかった。
  
彼女は、手を振って颯爽と
街を歩いて行く。

「さぁ、中へどうぞ」

「いえっ、営業の邪魔はしたく
 ないので、すぐに帰ります」
   
「いいのよ、気にしないで
 この間のお給料も渡したいし
 それに、荷物も預かったまま
 だったでしょう?
 
 イオリが、ここへ来た時に
 渡せるように、お店に置いて
 あるのだけど、今、組の方が
 大変みたいで、あれから
 一度も来店して無いのよ」
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