飴色蝶 *Ⅰ*
その足取りは重く

朱莉の言葉が
   
繰り返し聞こえる。

『庵に一緒になろうって
 言われた時
 断ってしまった事を私
 すごく、後悔しているの』

庵は、私には、絶対に
言ってはくれない言葉を
   
彼女には言ったんだね・・・

そんなにも、朱莉さんの事を
愛していたんだね。

『イオリ・・・
 どうして、私には
 言ってくれないの?
 
 ねぇ、どうしてなの』

すみれ・・・

強くなるって、そう
決めたばかりじゃない。

どうして、涙が出るの

・・・止まらない。
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