飴色蝶 *Ⅰ*
行く手を阻むように、停車して
ある車のドアが開き、びっくり
した私は、その場に立ち止まる

車から降りる男性に、私は
目を奪われた。

「どうして・・・いるの?」

庵は驚いている私の傍に近寄り
そっと、抱き寄せてくれた。

そして、ボソっと呟いた。

「どうして、嘘ついた」

「ごめんなさい」

私はハッと、ある事を思い出し
辺りを見渡した。
  
「どうした?」

「一人なの?
 カナメさんは何処」

庵は、首を振った。

「俺だけだよ」

「どうして、単独行動なんて
 危ないよ
 ほら、早く部屋に入ろう」

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