飴色蝶 *Ⅰ*
「すみれ、知ってるのか?
 今、組が大変な事・・・
 シュリから聞いたのか?」

私は、頷いた。
  
「ほら、早く行こう」

二人は、手を取り合って
駆けて行く。

私は、玄関先で荷物を置き
靴を脱ぐ。
 
「部屋、散らかってないと
 思うけど、どうだろう?」

気になった私は、慌てて
室内へ入ろうとした、その時
庵が私の右手を掴む

そして振り返った私の左手に
彼の右手が触れた。

向き合って、手と手を
繋いだまま、庵は
私を見つめて言う。

「こんな時に、お前に逢えば
 危険な目に合わせてしまう
 かもしれない
 
 だから、落ち着くまでは
 逢わない方がいいと
 思っていた
   
 それなのに、気がついたら
 ここへ来ていた」
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