飴色蝶 *Ⅰ*
「あの日の俺は
 何も変わらない日々に
 うんざりしていた」

学校と仕事の両立で
疲れ果てた体。
  
病院の医師からは、容態に
変化は見られないと
毎日、同じ言葉の繰り返し

庵の気分は滅入り、何をする気
にもなれない飲み食いもせずに
彼はただ、目を閉じ横に
なっていた。

このまま眠り続けていれば

いつか、死ねるだろうか?

静寂の中・・・『死ねるさ』

誰かの声が、聞こえたような
気がした。

それは誰でも無い

庵の声だった。

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