飴色蝶 *Ⅰ*
『遊べない女はいらない』

そう、冷たい言葉を吐き捨て
貴方が私から目を逸らし
ガラス窓の外に広がる世界を
見つめていた、あの時も

『俺なんか、やめろよ』
 
私を突き放して、私の前から
消えた、あの時も

あの時も、あの時も

貴方が私の事を好きだったと
したら・・・
 
自分の思いばかりを押し付けて
いた私が、本当に無神経な女に
思えた。

彼の事、何も知らないくせに
愛を押し売りする私。
 
イオリ、貴方には
どんな風に映っていただろう。

「ごめんなさい」

「何を謝る?
 謝る事なんて
 お前には何も無いさ・・・」

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