飴色蝶 *Ⅰ*
あの頃の、私は夢見ていた。
  
貴方と学生服のままで手を繋ぎ
歩幅を合わせて通学路や夕方の
町並みを歩く事を

ずっと夢見ていた。

もしも、貴方に起こった不幸な
出来事が何も無ければ、私の
この願いは叶っていただろうか

私達は、こんなに遠回りを
しなくても、もっと以前に
お互いの愛を確かめ合う事が
できただろうか。

ずっと飽きるほど、貴方の傍に
居られただろうか。

将来を誓いあえただろうか・・

そんな事を思ってみても
虚しいだけ。

そんな虚しい思いを

彼はどれだけ感じて

今まで生きて来たのだろう・・
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