飴色蝶 *Ⅰ*
「貴方がそんな風に、私の事を
 想ってくれていたなんて、私
 全然気づいてなかった
   
 大好きな貴方に抱かれて
 死ぬ程に幸せだったけど
 その後、私に残ったのは
 惨めな思いと
 自己嫌悪だけだった」

私は起き上がり庵が脱ぎ捨てた
シャツを取り、彼に渡した。

彼は、そのシャツを私の肩に
羽織らせてくれた。

「後悔したのか?」

「ううん、後悔はしていないよ
 だって、触れ合えて
 嬉しかったもの、ただ・・」

「ただ?何」

「二人の間に愛が無いなら
 無意味だと思ったの」

「愛なら、確かにあったさ
 お前に触れる
 俺の手が震えるほどに」

そう言って、庵は微笑む。
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