飴色蝶 *Ⅰ*
庵を想って痛む胸に、両手を
当てて目を閉じ強く押さえる。
しばらく、そこから動けない菫
菫の部屋の窓を見上げる庵
そこに菫の姿は無くカーテン
だけが、風に揺れている。
菫の部屋、開いたドアが
ゆっくりと閉じ、その閉まる音
が建物中に響いた。
上着のポケットから、煙草を
出す庵の傍に、要が近寄る。
「カナメ・・・」
「やはり、こちらでしたか?
心配しましたよ」
「すまない、それより
俺の車はどこだ」
「若衆に昨晩、私が預かって
いるスペアキーで、親父の
自宅へ乗って帰らせました」
煙草を銜える庵と要は
並んで歩き、角を曲がった途端
庵の顔色が険しく変わる。
当てて目を閉じ強く押さえる。
しばらく、そこから動けない菫
菫の部屋の窓を見上げる庵
そこに菫の姿は無くカーテン
だけが、風に揺れている。
菫の部屋、開いたドアが
ゆっくりと閉じ、その閉まる音
が建物中に響いた。
上着のポケットから、煙草を
出す庵の傍に、要が近寄る。
「カナメ・・・」
「やはり、こちらでしたか?
心配しましたよ」
「すまない、それより
俺の車はどこだ」
「若衆に昨晩、私が預かって
いるスペアキーで、親父の
自宅へ乗って帰らせました」
煙草を銜える庵と要は
並んで歩き、角を曲がった途端
庵の顔色が険しく変わる。