飴色蝶 *Ⅰ*
冷めた目で銜えた煙草を
手に持ち、握り締めた。
  
その手をポケットに突込み
低い声で要に聞く。

「カナメ、どういう事だ
 説明しろ」

幹部数名を筆頭に、組員達が
数十人、庵を待っていた。

皆は、庵に深く頭を
下げている。

「親父、すみません
 俺の後をつけるようにと
 先代が・・・」
   
深いため息をつく、庵。

「そうか」

一点を見つめた、要の顔色
が変わる。

「親父、スミレさんが・・・」

振り返った庵の瞳には、驚きの
あまり目を見開く菫の姿が映る

組員達も、要の声に組長の恋人
を一目見たいと思い、みんなが
一斉に、菫に注目した。

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