飴色蝶 *Ⅰ*
「俺は、お前の名前も
 忘れるよ」
    
「貴方に抱かれるなら
 名前なんて
 
 忘れられても
 構わないよ
 
 どんなに
 傷つけられても
 構わない
 
 私はイオリがほしい」

瞳から流れ落ちた
一粒の涙は頬を伝い
足元に落ちた。

落ちた涙を見つめた
菫の瞳に、彼の靴が映る

庵は、皆が見ている前で
菫をその胸に抱きしめて

耳元に、さびしい声で
囁く。

「もっと
 自分を大事にしろよ
 
 安い女にはなるな
 
 俺はおまえを
 この手で
 穢したくない」

私は、また

彼に振られたの?
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