飴色蝶 *Ⅰ*
ううん、正確には、もっと多く
の男達が貴方と組を守る為に
命をかけて必死になる。
  
貴方さえも、組の為に命を
投げ出す覚悟は出来て
いるんでしょう?

私を強く抱きしめた後、庵は
私の肩に手を置いて私を
見つめて告げる。

「すみれ、聞いて
 俺は・・・」

庵の声を聞きながら、私は
ヒラヒラと舞う、蝶々を
目で追っていた。

蝶々は、確かに、彼の肩に
留ったはずなのに
  
どこにもいない・・・

どこにも・・・
    
「お前を残して逝かない」

見つめ合う二人、庵は、一度
優しく微笑んだ後
真剣な表情で約束してくれた。

「お前だけには、あんなに辛く
 悲しい想いはさせない」
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