飴色蝶 *Ⅰ*
「イオリ、もう大丈夫
 少し、びっくりしただけ
 
 二人が交わした
 たくさんの約束を
 貴方は、必ず守ってくれる
 
 私は、イオリを信じてる」

庵の声が、聞こえる。

「俺は、お前を
 悲しませたりしない」

今も・・・聞こえる。

貴方は、いつものように
後部座席の窓を開け
腕を出し手を二度振る。

彼を乗せた車は、角を曲がり
見えなくなる。

その後に、連なる数台の黒い車
 
それはまるで、霊柩車の後を
追うように走り去る。

悲しい光景と重なるのは
何故なの・・・

最悪な事ばかり考えてしまう
頭を、私は強く左右に振った。
 
悪い方へと考えるのは
もう止そう。

楽しい事だけを考えよう。
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