飴色蝶 *Ⅰ*

素敵な声

そうだ、今度、庵がこの部屋
へ来たら何か美味しいものを
作って食べさせてあげよう。

庵は、何が好きかなぁ・・・

逢えない日々は、続く。

でも私は寂しくなんかないよ

貴方は、今も変わらず
毎日、欠かさずに一度だけ
私に、電話をかけてきてくれる

それは、ほんの数分の会話で
メールで簡単に済ますことが
できる内容だけれど、メールが
苦手な貴方は毎夜、素敵な声を
私に届けて、聞かせてくれる。

心配な想いも、貴方の声を
聞けば安心できる。 

今日の仕事は、店頭での販売が
主で、新しい季節の企画物の
デザインには、私の作品は
選ばれなかった。

正直、庵と再会してからの私は
彼の事ばかりに囚われ
デザインを考えている
余裕なんて無かった。
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