飴色蝶 *Ⅰ*
仕事と向き合わずに、疎かに
している私の作品が選ばれる
はずは無いと分かっていた。

昼休憩になり、私は
社長に呼ばれた。
  
期待を裏切らせてしまった
今回の失態を怒られるだろうと
思っていた私に、社長は言う。

「新しいブランドを立ち
 上げようと思っているの
 大人の女性がターゲットよ
 そのブランドに貴女も
 デザイナーとして参加して
 もらうわ」

社長の言葉に、私は驚いていた

「えっ、私がですか?」

「そうよ、詳しい事は、チーフ
 のヒロミに聞く事 
 それから、今回のような
 デザインではやっていけない
 わよ、しっかりやりなさい」

「はい、頑張ります」

一緒に働く同僚達にも
『頑張れ』とのたくさんの応援
の声をもらった、私の心は躍る
 
立ち仕事を終えた帰り道
疲れているはずの私の足元から
軽やかにリズムを刻む音がする

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