飴色蝶 *Ⅰ*
「やっぱり、そうか
 ホストにしては、周りの連中
 の柄が悪すぎる
 何で、イオリの奴、ヤクザに
 なんかなったんだ
 
 そう言えば、確かアイツには
 病気の妹さんがいたはず
 ・・・」

「ミキちゃん、もう詮索する
 のは止めよう、真実は
 彼にしか分からない」

「そうだな、俺はアイツが
 ヤクザでも何でもアイツに
 対する思いは変わらない
 イオリは俺が唯一
 憧れる男さ」

「イオリに憧れてたの?」

「ああ、高校を中退した俺は
 やることも無く、毎日
 悪い連中と、夜の街を
 ブラブラしていた
 そんな俺を見兼ねた親父は
 嫌がる俺を無理やり、自分
 の仕事場に連れて行ったんだ
 
 しかたなく付いていった俺は
 ふて腐れて何もせずにボーっ
 と親父の仕事を見ていた
 
 その場所で初めて、イオリに
 会ったんだ」

幹生の父親である棟梁の言う事
を瞬時に聞き分け、仕事を
進めていく庵に、彼は目を
奪われた。
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