飴色蝶 *Ⅰ*
「会澤組と契りを交わすとは
 先代
 どういうことですか?」

一番の宿敵である会澤組との
縁組みに賛成する者など
高月組には、誰一人いない。

「今回の抗争の発端となった
 仲本組と伊納組は、今や
 友好関係にある
 
 そして、その背後には
 会澤組の若頭の存在が・・・
 その事を分かっていながら
 縁を結ぶ意味が、私には
 理解できない」

「じゃあ聞くが、イオリ
 お前が、もしこの盃を断れば
 顔を潰された会澤組は
 必ず、この組を潰しに来る
 だろう
 そうなれば、この抗争を利用
 するのは目に見えている
 必ず、伊納組に加担する
 ・・・・・・
 目先の事に囚われているだけ
 では、親は務まらない
 もっと、その先を見るんだ
 イオリ
 
 親とは、そういうものだ」
 
「申し訳ございません」

庵が、先代に謝る姿を見た
幹部達は皆、会澤組と契りを
交わし、友好関係にならざる
終えない悔しさに、両手を
握り締めた。
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