飴色蝶 *Ⅰ*
「イオリ、了承してくれるな」

先代の正二が、ほっと息つく
間も無く、庵は答える。

「いいえ
 先代には、申し訳無いとは
 思いますが、俺の気持ちは
 変わりません」

「イオリ」
  
庵は、鋭く尖った瞳で
真っ直ぐに、先代の正二を
見つめた。

「半端なガキで親になって
 先を見据えて行動できる程
 人間もできちゃいない
 
 今を手探りで進んでいくのが
 やっとの、こんな情けない
 俺でも、親は親
 
 高月組三代目組長は
 この俺だ」

そう言い放つ庵に、その場の
誰もが釘付けになり、目を
奪われた。

「潰れる事を恐れる前に
 俺は突き進む」

そして男達は言葉を失い、庵に
付いて行くと心に決めた。
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