飴色蝶 *Ⅰ*
『俺は、どこへ向う
     
 俺は、十字路に立ち

 どの道へ進むか迷う

 左へ行くか、右へ行くか

 前に進むか・・・

 結局、どの方向を選んでも
 
 お前を悲しませてしまう

 俺は、お前を悲しませる

 存在にしか、成り得ない』

菫の元へと向う車内、窓の外
輝く月を見つめ、庵は
深いため息をつく。
 
彼が、そんな風に思い悩んで
いる事にも気づかずに

私はただ、雪乃の部屋に
掛けられた時計を、じっと
見つめて彼を待っていた。
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