飴色蝶 *Ⅰ*
ソファーに座り雪乃と二人きり
幹生が帰って来ないねと、お酒
を飲みながら話していると
ドアが閉まる音が聞こえた。

「帰って来たね」

雪乃は、リビングのドアを
開けて幹生に話しかけている。

「ミキちゃん、遅いよ・・・」

開いたドアの向こうから
幹生が誰かと話す声が
微かに聞こえた。

その声は・・・
 
庵の姿に気がついた雪乃は
微笑んで菫を手招く。

私は、手に持っていたグラス
を置いて慌てて、その場に
立ちあがると庵の姿が見えた。

逢いたかった貴方がそこに居る
 
私はもう、居ても立っても
いられなくて貴方に抱きついた

「イオリ、おかえりなさい」

「ただいま・・・
 ユキさん、すみれ
 返してもらえます?」
 
菫を抱きながら雪乃を見つめて
そう話す庵に、彼女は微笑んで
言う。

「お好きにどうぞ」
   
庵は、口元を緩めた。
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