飴色蝶 *Ⅰ*
庵の脱いだジャケットを
預かった私は、座っていない
椅子の背に、形を整えてかけた

「イオリさん、どうぞ座って
 ほら、スミレも」

二人は、ソファーに並んで座る

冷蔵庫に買って来たビールを
冷やしながら、幹生は
庵に聞いた。
  
「イオリ、ビールでいいか?」

「ああ」

「ユキ、冷蔵庫にある食材
 使っていい?
 イオリ、腹減ってるって」
  
「うん、好きに使っていいよ」

「ご飯、食べてないの?」
   
驚く私に、庵は頷いた。
  
「夕方に、昼飯食っただけ」
 
「そうなの・・・」

キッチンを見つめる私に
雪乃は言う。

「ミキちゃんに、任せてれば
 いいよ
 料理が趣味の人だから」

「そうなの?」
  
「昔、俺も
 よく食べさせてもらったよ」
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